日本におけるラグジュアリといえば、ハイブランドのバッグ、アクセサリーなどのファッションをイメージする方は多いでしょう。日本人はハイブランド好きといわれる一方で、こられは下品だと言われる側面もあります。では、そもそもラグジュアリとは何なのでしょうか?
ラグジュアリのイメージ
ラグジュアリとはいったい何なのでしょうか?主にファッションにおけるラグジュアリは、ハイブランドのものを身に着け、”裕福さ”を誇示するようなイメージがあります。また、ファッションだけにはとどまりません。ラグジュアリホテルやラグジュアリカード(ブラックカードとか・・・)、など様々な分野でラグジュアリと銘打った商品やサービスがあります。
一般的な人から見て、ラグジュアリとは「豪華、高価な一般的な商品、サービスよりワンランク上のもの」というイメージでしょう
例えば旅行において、一般の宿泊施設より高めのホテルに宿泊するようなことについて、批判的な意見をあまり聞きません。
ただしハイブランド品、ラグジュアリーブランドとなると少しイメージが変わります。ラグジュアリーブランドが好きな人もいますが、まったく逆に下品であるというイメージを持たれる方もいるでしょう。
それは日本人的な気質によるものも大きくに影響しています。日本人の気質として目立つことは望ましくないというイメージが過去あったからです。いかにも「金を持っている」という誇示に見えてしまう感覚もあるのだと思います。
また逆に「高額な金額に対しての価値はあるのか?」という投資対効果的な価値観もラグジュアリブランドに対してネガティブに反応する要因にあります。
このようにファッションとその他のラグジュアリというものに対しての反応の差は大きく乖離することが多いのです。
ラグジュアリの歴史
このような乖離はなぜ生まれるのでしょうか?それは先述した日本人的な文化、感性的なものもありますが、これまでの歴史からも読み解く事ができます。
日本にラグジュアリブランドを持ち込んだのは、茂登山長一郎氏です。彼は戦時中のヨーロッパのブランドに感銘を受け、1955年有楽町で「サンモトヤマ」という現在でいうセレクトショップを開業します。1962年にはグッチ、と総代理店契約を結び、エルメス、ロエベ、フェラガモといった海外ブランドを日本に持ち込みます。
ただし、1990年以降各ブランドが日本法人を立ち上げ、ビジネスを開始します。そのため、サンモトヤマのビジネスは陰りをみせ、2020年に法人格は消滅します。
各ブランドは日本に法人を立ち上げ、ラグジュアリ戦略を実行していきます。メディアも活用し、ラグジュアリ=ラグジュアリブランドの価値観を市場に植え付けていきます。日本においては欧米へのあこがれ、裕福であることが正義であること、などの観点からラグジュアリブランドへのあこがれが続きます。
本来ラグジュアリであること=ハイブランドの商品を持つことではないのですが、日本人の中では、ラグジュアリ=ハイブランドの商品を持つこと、という価値観につながっていったものと思われます。
これからのラグジュアリ
今でもラグジュアリブランドの勢いは止まりません。コロナ過を経て勢いを増しているように思えます。コロナ過においては、旅行や外食などを規制され、そこに使っていたお金がものへ使われるようになります。またラグジュアリブランドの戦略の肝である希少性がさらに増していきます。
少し前にエルメスの方とお話した際に「日本にバーキンやケリーが売れる市場がこれだけあると事を再発見した」というコメントがありました。まさに日本のブランド市場をよく表しているコメントです。
ではこれからもこのラグジュアリブランド市場は成長していくのでしょうか?またそもそもラグジュアリとは何なのでしょうか?
ラグジュアリブランドにおける価値訴求は転換期だと言われています。これまでブランドのロゴさえ入っていれば何でも売れるようなところから、各個人の価値観が多様化し、インクルーシブな世界おけるラグジュアリさを考えていく必要があります。
そもそもラグジュアリとは、「豪華さ、華やかさ、高価なもの」というところと、語源の一部となっているLuxe(このサイトのタイトルです!)は「自身の価値観で本質を見極めたものこそが真の贅沢」という意味合いを含んでいるそうです。
まさに「多種多様な価値観において、本物を見極め、自分のライフスタイルを表現する」、これが今後のラグジュアリの定義だと思っています。
それぞれの地域、性別、価値観を認めながら、自分が本物だと思うライフスタイルを表現する、これがこれからのラグジュアリであり、ラグジュアリを提供する側は正にこの価値観に合わせたサービスを提供していく事となります。
まとめ
これからのラグジュアリは多種多様な価値観を是とし、個人のライフステージ、価値観における本物志向を目指すもの、自己表現を行い、ライフスタイルを作り上げていくものだという事だと思っています。
これまでの画一的な横並びのブランド品だからよいではなく、自分の価値観に沿って、自分のライフスタイルを表現していく方法も多種多様な表現を行う事です。
私もいくつかの高級な時計や洋服等を持っていますが、基本的にはシンプルで且つ気軽に利用でき、下品にならないものをセレクトします。また基本的には安らぎを求めています。洋服、時計などのアクセサリ、旅行、日々の生活においても、安らげるものに惹かれます。
これは私のラグジュアリですが、各人におけるライフステージで求めるものは変わっており、それも千差万別であり、その中での豪華さや本物を追求していく事が正にそれぞれのラグジュアリとなります。
ラグジュアリを提供する側もこれらの価値観を認めること、各ブランドの価値観は何かを透明性を持って伝えていく事、それに賛同してくれる人々がお客様になっていくのであろうと思います。